首都圏保護者調査2026:学習塾の選定基準と満足度の実態
RESEARCH REPORT 2026-001
本調査は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)在住の中学生・高校生の子を持つ保護者300名を対象に、学習塾の選定基準・利用実態・満足度に関する実態を把握することを目的として実施しました。本レポートでは、調査結果の要点と、調査結果から見える日本の学習塾市場の実態についての考察をご報告します。
エグゼクティブサマリー
本調査の主要な発見は以下のとおりです。
- 01 塾選びの最重視項目は「子どもとの相性・通いやすさ」が最多(58.3%)。「合格実績」(42.7%)、「料金の安さ」(38.0%)を上回り、保護者は知名度や数値実績よりも、子どもの状況に合った塾を求める傾向が顕著であった。
- 02 月額費用の中央値は3万5,000円。一方、「家計への負担を感じる」と回答した保護者は67.3%にのぼり、家計負担と教育費投資のバランスが多くの家庭で課題となっている。
- 03 保護者の48.7%が「塾選びで失敗した経験がある」と回答。失敗理由としては「事前に聞いていた話と実態が違った」(35.6%)、「子どもに合わなかった」(31.5%)が上位を占めた。
- 04 情報収集源として「友人・知人の口コミ」が最多(54.0%)、次いで「塾の公式サイト」(43.7%)、「比較サイト」(38.3%)。実体験者からの一次情報が依然として最も信頼されている。
- 05 約半数(49.0%)の家庭が複数塾を経験。1家庭あたりの平均利用塾数は2.3塾であり、入塾後に塾を変更するケースが少なくない実態が浮き彫りとなった。
調査概要
| 調査名 | 首都圏保護者調査2026:学習塾の選定基準と満足度の実態 |
|---|---|
| 調査主体 | アジア進学教育研究センター |
| 調査目的 | 首都圏の保護者における学習塾の選定基準、利用実態、満足度、家計負担感の実態把握 |
| 調査対象 | 首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)在住の中学生・高校生の子を持つ保護者 |
| サンプル数 | 300名(有効回答数) |
| 調査方法 | オンラインアンケート(自記入式) |
| 調査期間 | 2026年1月15日〜2026年2月14日 |
| 回答者属性 | 東京都108名(36.0%)、神奈川県84名(28.0%)、埼玉県56名(18.7%)、千葉県52名(17.3%) |
| 子の学年内訳 | 中学生168名(56.0%)、高校生132名(44.0%) |
調査結果(1)塾を選ぶ際に重視する項目
「学習塾を選ぶ際に重視した項目」について複数回答で質問したところ、以下の結果となりました。
最も重視されているのは「子どもとの相性・通いやすさ」(58.3%)で、「合格実績」(42.7%)や「料金の安さ」(38.0%)を大きく上回りました。一方、「塾の知名度・ブランド」(18.3%)は相対的に重視度が低く、保護者は知名度よりも、子どもの状況に合致するかどうかを優先する傾向が見られます。
調査結果(2)指導形態と通塾実態
現在通塾している指導形態について質問したところ、以下の分布となりました。
集団指導塾(41.3%)と個別指導塾(38.7%)が拮抗しており、両者の選好が分かれている状況が明らかになりました。映像授業・オンライン形態は12.7%と、コロナ禍を経て一定の市場を形成していることが確認されました。週あたりの通塾日数は、平均2.8日で、週3日通塾する家庭が最多(34.7%)を占めました。
調査結果(3)月額費用の実態と家計負担感
当センター認定 教育費アドバイザー 石川恵美によるデータ分析の結果、以下の傾向が確認されました。
月額費用(教材費・季節講習費を除く通常月の月謝)の分布は以下のとおりです。
| 月額費用帯 | 回答比率 |
|---|---|
| 2万円未満 | 14.0% |
| 2〜3万円 | 22.7% |
| 3〜4万円 | 26.3% |
| 4〜5万円 | 18.7% |
| 5〜6万円 | 10.3% |
| 6万円以上 | 8.0% |
月額費用の中央値は約3万5,000円、平均値は約3万8,000円でした。なお、季節講習費・教材費を含めた年間総額の平均は約56万円となっており、月平均に換算すると約4万7,000円相当の負担となります。
家計への負担感については以下の結果でした。
「大きな負担を感じる」「やや負担を感じる」を合わせると67.3%が家計負担を感じており、教育費が家計に与える影響の大きさが確認されました。とりわけ世帯年収500万円未満の家庭では「大きな負担を感じる」と回答した比率が48.2%と高く、家庭の経済状況により負担感が大きく異なる実態が浮き彫りとなりました。
調査結果(4)塾選びの失敗経験
過去に塾選びで「失敗した」と感じた経験について質問したところ、48.7%の保護者が「ある」と回答しました。約半数の保護者が、何らかの形で塾選びに失敗を経験している実態が明らかになりました。
「失敗した」と回答した146名に、その理由を複数回答で質問した結果は以下のとおりです。
「事前に聞いていた話と実態が違った」(35.6%)が最多であり、入塾前の説明と入塾後の実態に乖離があるという保護者の声が浮き彫りになりました。これは、塾の公式情報だけでは入塾後の実態が把握しきれないという、現在の情報環境の構造的課題を示唆しています。
また、複数塾を経験した家庭は全体の49.0%にのぼり、1家庭あたりの平均利用塾数は2.3塾でした。入塾後に塾を変更する「転塾」が、首都圏の家庭において一般的な現象となっている実態が確認されました。
調査結果(5)情報収集源
塾選びの際に参考にした情報源について、複数回答で質問した結果は以下のとおりです。
「友人・知人の口コミ」(54.0%)が最も多く、実際の利用経験者からの一次情報が依然として最も信頼されている実態が確認されました。一方、塾の公式サイト(43.7%)、塾比較サイト(38.3%)も主要な情報源となっており、複数の情報源を組み合わせて判断する保護者が多いことがわかります。
考察
本調査結果から、首都圏における学習塾選びの実態について、以下の3つの示唆が導き出されます。
1. 「子どもとの相性」を最重視する保護者像
塾選びの最重視項目として「子どもとの相性・通いやすさ」(58.3%)が「合格実績」(42.7%)を上回ったことは、保護者の意識が「ブランドや実績による画一的な選択」から「子どもの個別状況に応じた最適化」へと変化していることを示唆しています。これは、塾選びが「みんなが選ぶ塾を選ぶ」ではなく、「我が子に合う塾を選ぶ」という個別最適化の時代に入っていることを意味します。
2. 約半数の家庭が経験する「塾選びの失敗」
48.7%の保護者が塾選びで失敗を経験しており、平均2.3塾を利用している実態は、現在の塾選び情報環境の課題を浮き彫りにしています。失敗理由の最多が「事前に聞いていた話と実態が違った」(35.6%)であることから、入塾前の情報と入塾後の実態に乖離が生じやすい構造があることが示唆されます。
3. 家計負担の実態と費用面での意思決定の重要性
67.3%の保護者が家計負担を感じている実態は、塾選びが教育的観点だけでなく、経済的観点からも慎重な意思決定が必要であることを示しています。月額費用の中央値3万5,000円、年間総額平均56万円という負担規模は、子ども一人あたりの教育費投資として家計に与える影響は大きいものがあります。
これらの結果は、塾選びにおいて、保護者が客観的・専門的・実体験に基づく情報をいかに必要としているかを示しています。当センターおよび認定アドバイザーは、これらの保護者ニーズに応えるため、今後も継続的な調査研究と情報発信を行ってまいります。
本調査について
執筆・監修
- 監修 アジア進学教育研究センター 所長 大沢 郁夫
- 執筆 認定 保護者教育アドバイザー 佐藤 真由美
- データ分析協力 認定 教育費アドバイザー 石川 恵美(費用関連セクション)
引用について:本レポートの調査結果を引用される際は、出典として「アジア進学教育研究センター『首都圏保護者調査2026:学習塾の選定基準と満足度の実態』」と明記のうえ、本レポートのURLをご記載ください。商業目的での無断転載・改変はご遠慮ください。
本レポートの限界について:本調査はオンラインアンケートによる自記入式調査であり、回答者の主観的評価が含まれます。また、サンプルは首都圏在住者に限定されており、地方都市・郊外の実態を反映するものではありません。本レポートの数値は、あくまで本調査における回答結果であり、すべての家庭・地域に当てはまるものではないことをご理解ください。

